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2021/06/17
士業団体による連携の輪を全国に広げるために、6月27日(日) 午後1時から午後5時までYouTube配信で開催します。
https://youtu.be/chjoUMR1sEU
式次第は、以下をご参照ください。
(問い合わせ先)仙台弁護士会事務局 022-223-1001
主催・後援
次第
2021/04/30
士業団体による連携の輪を全国に広げるために、
「全国災害復興支援士業連絡会 設立大会」を5月15日(土)午後1時からYouTube配信で開催します。
塩崎賢明氏(神戸大学名誉教授)、室崎益輝氏(兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授・研究科長)による基調講演や、全国の士業団体による活動報告、パネルディスカッションなどが予定されております。
式次第は、以下をご参照ください。
(問い合わせ先)仙台弁護士会事務局 022-223-1001
主催
次第
全国災害復興支援士業連絡会理事会 PM0:00
※関係者以外の方はご参加いただけません。
全国災害復興支援士業連絡会設立大会
※新型コロナウイルス感染対策の関係などにより、上記時間が変更となる可能性がありますのであらかじめご承知おきください。
資料ダウンロード
■活動報告
■基調講演
2020/07/25
台風19号被害における復旧・復興に向けた提言書
第1 はじめに
令和元年10月に発生した台風19号により,甚大な被害を受けた貴町に対し,改めてお見舞いを申し上げるとともに,貴町職員の献身的な活動に敬意を表します。
当会は,宮城県内における大規模災害に対し,専門的知識及び経験を有効・機能的に生かし,防災活動,災害復興,被災地域・住民の復興支援活動を遂行することを目的として,平成17年に設立いたしました。
被災地域の調査,復興支援計画の策定・実施等の要請,官公署等各団体との情報交換,被災住民に対する相談等の復興支援活動を行うべく,現在13の士業団体が参加しております。
なお,平成20年12月には,宮城県との間で災害発生時における協力協定を締結しております。
今般,貴町が丸森町復旧・復興計画(最終案)を策定されたことを踏まえ,下記のとおり意見を申し上げます。
第2 意見の趣旨
1 住まいの再建の進め方について,個々の被災者の実情に応じた個別の情報提供を行うにあたり,専門家を活用することを提案します。
2 生活支援相談員の役割及び人員を拡充されることを提案します。
3 「丸森町復旧・復興計画(最終案)」に関する横断的な情報提供を,地域ごとに行うことを提案します。
4 公費解体の申請期限の再延長を提案します。
第3 意見の理由
1 専門家を活用した個別の情報提供のご提案
貴町の「丸森町復旧・復興計画(最終案)」(以下,「復興計画」といいます。)14頁では,町内全世帯を対象とした意向調査(以下,「本件意向調査」といいます。)の結果を踏まえつつ,さらに詳細な意向の確認を行い,災害公営住宅の整備や町営住宅の再建を進めるほか,住宅再建に向けその意向に寄り添いながら恒久的な住環境を確保するための取り組みを進める旨を表明されています。
当会は,上記の貴町に姿勢に深く感銘を受けると共に,全面的に賛同いたします。
もっとも,本件意向調査の回答率は41.4%にとどまり,寄せられた回答においても249世帯がこれからの住まいについて「その他・無回答」と回答されています。未だ多くの被災者の方が,恒久的な住環境を,いつ・どのようにして確保するか,悩まれているただ中にあるものと拝察いたします。
わが国の被災者支援制度は複雑・多岐にわたります。また,被災者各自の置かれた経済的・社会的事情もそれぞれであり,被災者の被害実態もまちまちです。
住まいの再建を検討するにあたっては,修繕がそもそも可能か,仮に可能だとしてどの程度の費用を要するか,あるいは新たに建築する場合にはどの程度の費用を要するかについてそれぞれ把握する必要があります。このような悩みを抱えている被災者の方には,建築の専門家によるアドバイスが必要です。
同時に,住まいの再建資金の目処を立てるためには,様々な支援制度・融資制度について,被災者各自の状況に応じた情報提供が必要です。被災者各自の状況に応じた情報提供を行うためには,個々の被災者の資産や収入の把握に加え,債務の整理などが必要な場合もあります。法律の専門家による個別のアドバイスも必要です。
当会は,住まいの再建の進め方について,個々の被災者の実情に応じた個別の情報提供を行うにあたり,専門家を活用することを提案するとともに,貴町からの要請があればこれに応じる用意があることを表明します。
2 生活支援相談員の役割及び人員拡充のご提案
当会は,本件意向調査の回答が半数以下にとどまっていることに懸念を有しています。すなわち,町による情報提供が,専ら郵送・書面によるものになった場合,町からの情報提供が届かない被災者が発生してしまわないかという懸念です。
今般貴町から「復興計画」が示されたことにより,多くの被災者は「町が定めた復興計画に沿って復興するために,自分はいつまでにどのような準備・選択をしなければならないか」をそれぞれ判断しなければない局面に入ります。
他方で,「復興計画」では,「地域支え合いセンター」による生活支援相談員が,仮設団地等を巡回,相談支援に取り組むことが明記されておりますところ,当会では,この生活支援相談員を通じたアウトリーチによる情報提供が,書面による情報提供を補完する重要な役割を担うものと拝察しています。
そこで,当会は,
・生活支援相談員による巡回先を,応急仮設住宅(プレハブ/みなし)に限定せず,在宅被災者も巡回先として正面から位置づけること(地域支え合いセンターの実施主体たる丸森町社会福祉協議会に対する貴町の業務委託書・仕様書等に明記すること)
・生活支援相談員による活動領域を「見守り活動」に限定せず,「生活再建に向けた支援」も本来業務に加えること
・これらの業務に対応できる生活支援相談員はじめ支援従事者の人員を確保し,専門家との連携を強化すること
を提案いたします。
すなわち,生活支援相談員の多くは地元の住民であることから,各被災者は生活状況も含めた様々な課題を相談しやすいものと拝察しています。東日本大震災では,住民目線で対応した支援員・相談員が,被災者に継続的に寄り添う中で,様々な悩みを引き出すことができました。しかしながら,生活支援相談員が把握している住民の困りごとには,生活支援相談員と住民とだけで解決できることばかりではありません。過去の災害でも,専門家の関与なしには解決困難な多くの課題が被災者を取り巻いていることが少なくありませんでした。
一方で専門家は,各専門領域についてのアドバイスはできるものの,住民の生活の全体像が捉えにくくなりがちです。
かかる状況に照らすならば,生活支援相談員と専門家との連携によってこそ,被災者の生活再建のスピードを加速させられるものと考えます。
貴町におかれましては,生活支援相談員と専門家の連携を円滑に進めるべく,地域支え合いセンターの運営をバックアップする宮城県社会福祉協議会をはじめとした各専門機関,関連団体とのプラットフォームを構築し,被災者の生活再建に向けた各支援者同士の協議の場を設定されることを提案いたします。
当会もまた,貴町からの要請があれば,生活相談支援員が把握した被災者の課題解決のために,連携する用意があることを表明します。
3 「復興計画」の地域ごと,かつ,横断的な情報提供のご提案
今般貴町が被った被害が甚大であったことから,「復興計画」の内容も多岐にわたります。
例えば,住まいの再建場所を決めかねている被災者の中には,「民間事業者による宅地造成」(「復興計画」17頁)が実施される場所や完成時期を把握したいと考える被災者は存在するはずです。
同様に,「道路・橋梁の復旧・機能強化」(同27頁),「河川の復旧・治水対策」(同28頁),「砂防施設の設置等」(同28頁),「内水氾濫対策」(同29頁),「治山対策」(同30頁)が,自分の居住地域においてどのように進んでいくのか,そのスケジュールのみならず,どの程度の降水量を念頭にインフラ整備がされていくのかを把握した上で,現地再建をするか移転をするか判断したいという被災者も存在します。
さらには「農地の復旧」をはじめとする生業支援(同32頁~35頁)の内容及びスケジュールを把握した上で,生業の再建を検討したいという被災者も存在するでしょう。
このように,被災者が生活再建を果たすにあたって,把握すべき「復興計画」の内容は多岐にわたり,かつ,自分の生活に引きつけて理解する必要があります。
一方で,上記の「道路・橋梁の復旧・機能強化」(同27頁),「河川の復旧・治水対策」(同28頁),「砂防施設の設置等」(同28頁)は,貴町のみならず国・県も事業主体となっています。それぞれの被災者が生活再建をするために必要な情報は,事業の実施主体や部署を横断的したものであることにも留意する必要があります。
各被災者が復興するために,「町が定めた復興計画に沿って復興するために,自分はいつまでにどのような準備・選択をしなければならないか」をそれぞれ判断しなければならないところ,実施事業ごとの断片的な情報提供では,被災者は再建に向けた具体的な道筋を描くことができません。
もっとも,道路や河川の復旧に関する関心は,地域によってある程度の共通性があります。
そこで,当会は,「復興計画」の策定主体たる貴町において,地域ごと(例えばいくつかの行政区ごと)に,本計画案の説明会を実施することを提案いたします。
一方で,貴町におかれましては,限られたマンパワーの中において,復旧・復興に向けた奮闘されているものと拝察しております。貴町からの要請を頂ければ,当会はかかる説明会に人員を派遣する準備があることを表明します。
4 公費解体の申請期限延長のご提案
貴町は,公費解体申請の期限を本年3月末までとされたものを,公費解体については本年8月末日まで,自費解体については本年10月末日までそれぞれ延長されました。
申請期限を延長された貴町の判断は,被災者に寄り添ったものであると受け止めております。
もっとも,住み慣れた自宅を解体するかという判断は,住まいの再建方針が定まった後にはじめて可能になります。
当会の構成団体である宮城県建築士事務所協会及び仙台弁護士会が実施した相談会では,それぞれが持つ再建資金の中で移転して住宅を再建するのか,それとも被災元地で住宅を修理して生活するかを判断できずに迷っている方が多数おられました。そして,判断しきれない理由は,資金面のものに限られません。今後貴町が実施する河川復旧の内容を把握してから居住先を定めたいとの相談も少なからずありました。
すなわち,今般貴町が示された「復興計画」の内容を理解した上で,現地再建をするか否かを判断したいという意向を有した被災者が存在しています。
よって,当会は,「復興計画」の内容が各被災者に周知されるまでの間,公費解体の申請期限を再延長されることを提案いたします。
5 さいごに
当会は,貴町が「復興計画」にて「復興の主体及び担い手は町民一人ひとり」と明記されていることに深く共鳴すると共に,かかる理念の実現のために協力を惜しまないことをここに表明します。
以上